隣町まで行った帰り、たまには違う道をと思い旧中山道を馬篭宿から妻吾宿へと峠を越して迂回してみました。旅人の往来はどんなだったろうと・・想像もつきません。同じ中山道を北に車で1時間ほど行くと鳥居峠と言う場所があります。今では国道19号線、トンネルになっておりあっという間に峠越えですが、このトンネルの中ほどに、←太平洋側 →日本海側という看板があるのです。しばらくしてわかったのですが、分水界だそうです。
このトンネルの手前、名古屋側は川が名古屋方面に向って流れています。トンネルを抜けると川はその反対側、つまり塩尻方面に向ってながれています。川の流れが反対になっているのです。名古屋方面に向って流れている川は木曽川で太平洋に辿り着きます。そして塩尻方面に向って流れている川は信濃川となり、日本海に辿り着くのです。ここは中山道奈良井宿です。
同じ奈良井の町に降った雨が、太平洋に辿り着くか日本海に辿り着くか。・・降った雨を生命の誕生、行き着く海を死とするなら同じ場所に生まれながら、正反対の運命を辿らなければならないわけで、その過程も、緩やかな流れがあれば急流もある。いくつもの支流を抱え込みながら穏やかにまた激流となりその流れは止むことなありません。
時に他人と比較の人生、運の悪さを嘆いてみたりすることがありますが、始まった流れをせき止めることはできません。生まれた時からある程度の方向は決ってしまっているように感じます。順境の時も逆境の時にもその時々の現実を冷静に受け止め、川がいくつもの支流を抱き込んでその流れを大きくして行くように周囲から様々なものを吸収、取捨選択し幅のある深みのある人生の歩みを進めたいと思います。僕の人生、中ほどを過ぎたところです。 木曽川で言えば中津川の辺りかな。この先、伊勢湾に至るまでには数多くの難所を越さなければならない。僕の人生もこれからが正念場!